理事長あいさつ
文化看護学会は、21世紀COEプログラム「日本文化型看護学の創出・国際発信拠点」での取り組みをもとに2007年に設立され、今年で16年目を迎えます。
本学会は、学際的かつ国際的な視点から様々な地域に生きる人々がもつ文化の多様性と普遍性を探求し、それらを反映した看護方法を見出していく学術組織です。
この間、文化に根ざした様々な看護実践知の解明に向けて、国内外の研究者・実践者とネットワークを結び、小規模ながら論文の発信や学術集会を継続してきました。会員数も発足時は76名という細く小さな産声でしたが、200名を超える学会に成長してきました。
まだまだ規模の小さな学会ではありますが、健康格差、グローバル化、災害や新興感染症によるパンデミック、軍事侵攻など、地球規模に及ぶ事象が私たちの生活やいのちを脅かしている時代において、本学会の存在意義はますます高まっていると考えます。
本学会では、文化看護学の実践、教育、研究の交流の場として、毎年学術集会を開催しています。第12回~第14回は、COVID-19 の影響を受けオンライン開催となりましたが、第15回は対面での学術集会が可能となりました。これまでの医療従事者の尽力への感謝とともに、久しぶりに同じ空間で議論できる喜びをかみしめることができました。そして「人と人をつなぐケアの本質」をテーマに、多様な背景をもつ研究者・実践者、地域で活動する住民の方々を交え、ポストコロナ社会を見据えて多角的な側面からケアの本質について議論し、新たな看護の可能性を検討することができました。
今後も、学際的・国際的な視点から文化に根ざした看護を追究できるよう、学術集会はもとより、学会誌、研究セミナーなどの場も充実させ、文化看護学の発信に努めてまいります。文化に関心をもつ看護以外の背景をもつ研究者や実践者の会員も増やし、本学会を発展させていきたいと考えております。
会員の皆様には、引き続き学会活動への積極的な参画をお願い申し上げます。
2023年5月
文化看護学会第6期理事長 佐藤紀子